【レビュー】ロシアンレールロード*3本の鉄道を延ばそう!
概要
ロシアの鉄道をテーマにしたワーカープレイスメント。
プレイヤーボードにシベリア横断鉄道、サンクトペテルブルク鉄道、キエフ鉄道の3つの鉄道があり、これらの線路を延ばして勝利点を稼ぐ。
共通ボードに労働者コマを置いて線路や機関車タイルを取り、それを配置することでプレイヤーボードの鉄道が発展していく。
2~3人プレイでは6ラウンド、4人プレイでは7ラウンド行い、各ラウンドの終了時に得点計算を行う。
最後に終了ボーナスなどを加えて、勝利点が最も多いプレイヤーが勝利する。
プレイヤーボード
各自、自分の色のプレイヤーボードを取ったら、初期状態として、黒の線路を3つの路線の最初のスペースに、紫の工業マーカーを工業トラックの0のスペースに、1番の機関車タイルをシベリア横断鉄道に置く。
また、労働者コマは2~3人プレイでは8個用意して初期は6個、4人プレイでは7個用意して初期は5個でスタートする。
ゲームが進むと、プレイヤーボードはこのように発展していく。
手番順と初期ボーナス
手番順は、写真上段の手番順カードでランダムに決定する。(ゲーム中、手番順はアクションによって入れ替わる)
手番順決定後、後のプレイヤーから順に初期ボーナスカード(写真下段)を選び、その効果を得る。1番手のプレイヤーは得られない。
線路の延長
ボード上の線路と矢印の描かれたスペースに労働者コマを配置することで、プレイヤーボード上の線路を進めることができる。
例えば上の写真で黄色のプレイヤーは、灰色の線路を合計3マス進めることができる。
※合計3マス進めなくてはならない。ロシアンレールロードでは、アクションが完全に実行できない場合、そのアクションを選ぶことができない。
線路はシベリア横断鉄道を進めていくことで獲得できる。まずは下の写真のように、黒の線路を2のスペースまで進めることで、灰色の線路を3個獲得できる。
黒の線路が6のスペースに到達すると、茶色の線路が3個獲得できる。
下の写真では、茶色の線路が3のスペースに到達している。3のスペースには、機関車のマークがあり、これは、機関車タイルも3以上必要であることを表している。
下の写真では線路も機関車も条件を満たしているので、労働者コマを1つ獲得できる。
なお、線路には黒、灰色、茶色、無色(自然色)、白の5種類あり、必ずこの順番に配置されなくてはならない。
途中で前の線路を飛び越えたり、灰色を置く前に茶色の線路を置くことはできない。
シベリア横断鉄道は5色すべて、サンクトペテルブルク鉄道は無色まで、キエフ鉄道は茶色までの線路を用いる。(ボード上にイラストで示されている)
機関車
線路から勝利点を得るには、機関車も建造しなくてはならない。
先程の労働者の例のように、機関車も進んでいることで得られるボーナスもある。
機関車タイルはボード上の以下のアクションで獲得できる。
機関車タイルは、ストックに残っている内の、一番小さい数字のタイルを取らなくてはならない。
獲得した機関車タイルは、表向きで機関車としてプレイヤーボードの各鉄道の左側に置くか、裏向きで工場としてプレイヤーボードの下に差すことができる。
機関車として置く場合、シベリア横断鉄道は2枚まで、サンクトペテルブルク鉄道とキエフ鉄道は1枚だけ置くことができる。
すでに置いてある機関車タイルを置き替えた場合、置いてあった機関車タイルはさらに他の路線の機関車タイルと置き換えることができる。
ただし、より小さい数字の機関車タイルしか置き換えることができない。
置き換えによって置くことができなくなった機関車タイルは、ストックの横に工場として裏向きに置く。
工場
機関車タイルを取った時、それを裏向きにして工場としてプレイヤーボードの下部に差すことができる。
工場タイルは左から右に差していき、最大で5ヶ所まで差すことができる。
6枚目を取った場合、工場を置き換えることができる。置き換えられたタイルは、工場の向きのまま機関車タイルのストックの横に置かれる。
工場として機関車タイルを取る際、機関車タイルのストックから一番小さな数字のタイルを取る他に、工場タイルとして置いてあるタイルを取ることもできる。
置いた工場タイルは、工業マーカーを進めることで効果を得ることができる。
工業マーカーは通常1つしかないが、7枚ある?トークンで2つめの工業マーカーを使用できる。
技師タイル
ゲームの準備で、ゲームボード上に技師タイルがランダムに置かれる。(ラウンド数と同じ枚数)
技師タイルはラウンドが終わるごとに、左から右へ移動する。一番右のタイルは1コインで獲得することができ、獲得した技師タイルは自分だけのアクションとして使用できるようになる。
獲得した技師タイルのアクションは、完全に実行できない場合でも使用することができる。
ボード上の右から2枚目と3枚目はアクション面で置かれ、全プレイヤーが使用することができる。
これらの他に、技師タイルはゲーム終了時に、最もたくさん持っているプレイヤーが40勝利点、2番目に多く持っているプレイヤーが20勝利点得られる。
枚数が同じ場合は、技師タイルに振ってある番号が、より大きい数字のタイルを持っているプレイヤーが獲得する。
手番順
手番はボード上の手番順トラックの順に行われる。
手番順も、アクションを実行することで変更できる。下の写真の場合、次のラウンドは黄色→緑→青→赤の順になる。
全員がパスし、手番順が再決定された後、手番順アクションスペースに置いた労働者コマは、再利用することができる。
2つ目のスペースに置いたプレイヤーから順に、空いているアクションに労働者コマを移動し、そのアクションを実行できる。
なお、最終ラウンドでは次のラウンドがないため、最終ラウンドマーカーによってアクションの内容が変わる。
得点計算
ラウンド終了ごとに、3本の鉄道と工業の得点計算を行う。
まず、鉄道の空いているスペースには、その先の色の線路が敷き詰められていると考える。
すなわち、シベリア横断鉄道では、無色の線路が2つ、茶色の線路が1つ、灰色の線路が2つ、黒の線路が5つあると考える。
それぞれの線路の点数はプレイヤーボードの右上に示されている。写真ではアップグレードしているため、点数が上がっている。
また、シベリア横断鉄道には3枚の「×2」チップが置いてある。
よって、無色の線路は2つ×6点×2=24点。茶色は1つ×3点×2=6点。灰色は2つ×1点=2点。計32点。
同様に、サンクトペテルブルク鉄道は7点、キエフ鉄道は3点になるが、キエフ鉄道はさらに、黒の線路と機関車のボーナスで10点入る。
5スペース目に灰色の線路があると20点のタイルが置いてあるが、残念ながら、灰色の線路はまだ3のスペースにある。
最後に工業トラックは15点。(直近の勝利点。それまでの星をすべてを加算するわけではない)
最終得点計算
4人プレイの場合7ラウンド、2~3人プレイの場合は6ラウンド終了したら、最後に終了ボーナスカードと技師タイルの得点を加算する。
終了ボーナスカードは、ゲーム中?トークンにより獲得することができ、ものによっては30点以上稼ぐこともできる。
?トークン
プレイヤーボードの?トークン獲得マスまで、線路や機関車、工業トークンが進んだら、?トークンを1つ置いて、その効果を得ることができる。
終了カードの獲得や、線路の価値を上昇させるなど、いずれも強い効果を持っている。
感想
デザイナーはHelmut Ohley氏で、この後に出した『ファーストクラス』とともに、最も好きな鉄道ゲームの一つ。
インタラクションはかなり強い。機関車タイルや技師タイルの取り合いはもちろん、特に線路の延長はシビアである。
完全に実行できないとアクションスペースに置けないルールを念頭に置き、相手が今どの線路を延ばせるのか、延ばせないのかを考えてプレイする必要がある。
当然手番順も大事になるので、手番順アクションが取り合いになることも多い。必然的に労働者の再利用が重要になり、その時に使える個人アクションのために技師タイルも欲しいところ。
ただ、全体的には、工業よりも鉄道の方が遥かに点数が高く、特にシベリア横断鉄道を進めて、×2チップを並べ、?トークンで価値を上昇させるプレイが強い。
また、サンクトペテルブルク鉄道は6の?トークンまで、キエフ鉄道は7の労働者まで延ばすことが多く、最終的に大体全員が同じようなボードになる。
何度もやって、プレイ感が同じになってきたら、是非拡張の『ジャーマンレールロード』を入れよう。
『ワイナリーの四季』の『トスカーナ』拡張同様、このゲームも『ジャーマンレールロード』を入れて完成すると言っても過言ではない完成度である。