【レビュー】アグリコラ:ファミリーバージョン

アグリコラ:ファミリーエディション

概要

ワーカープレイスメントの傑作、『アグリコラ』のルールをシンプルにして、お手軽に『アグリコラ』を楽しめるバージョン。

原題は『Agricola: Family Edition』だが、日本語版では『ファミリーバージョン』になっている。

共通ボード上のアクションにワーカーを置いて資材を獲得したり、資材を使って部屋を増やしたり、畑が牧場を拡張する。

また、畑で小麦を育てたり、牧場に動物を飼う。

計14ラウンドの内、いくつかのラウンドで、ワーカーに食料供給をする必要があり、ある程度ゲームに慣れていないと、ワーカーに食べさせるだけで終わってしまうことも。

かまどや調理場、進歩タイルなどを獲得して食料供給を楽にしながら、タイルをたくさん並べて勝利点を稼ぐ。

ルール

ゲームは14ラウンド。ワーカーは2つから始まり、最大で5つ。

基本的なルールは『アグリコラ』とまったく同じで、『アグリコラ』で詳細にレビューしているため、ここでは『アグリコラ』との違いを中心に紹介する。

カード類がない

まず、各プレイヤーに7枚ずつ配られ、異なる戦略性と豊かなゲーム性を提供していた職業カードと小さな進歩カードがなくなっている。

これにより、戦略性の幅は狭くなったが、いきなり大量のカードを前に情報過多で混乱を来すことはなくなった。

また、ラウンドが進むごとにめくられていた、アクションの書かれたラウンドカードがなくなり、14ラウンドすべてのアクションが固定になった。

これにより、運要素がなくなり、先の見通しが立ちやすくなった。個人的に、この点はファミリーエディションの方が戦略が組み立てやすく感じるが、「ここでスタPを取る」など、戦略が固定される側面は否めない。

かまどや調理場といった大きな進歩カードもなくなっているが、こちらはタイル化されただけなので、大きな変化はない。一部のタイルは、ラウンドが進むごとに取れるようになっていくのが、変わったと言えば変わった。

プレイヤーボードの廃止

本家では3×5マスのプレイヤーボードがあり、タイルは最大で15枚、埋められなかったマスは減点対象だったが、ファミリーバージョンではこのプレイヤーボードが廃止され、各プレイヤー、2つの部屋のタイルを拡張するルールになっている。

これに、畑や牧場、進歩タイルなどをくっつけていき、最終的にタイル1枚1点というシンプルな得点計算になっている。

石材と野菜の廃止

資材から石材がなくなった。

それに伴い、部屋の拡張も木からレンガの1段階になっている。

また、作物から野菜がなくなり、小麦だけになった。

しかし、これにより開墾プレイの幅が狭くなったということはなく、個数による各要素の得点上限がなくなったことで、むしろひたすら小麦を作るプレイも可能になった。

(それが戦略としてどうかは別にして、プレイヤーがやりたいことで勝利点も入るのは、ゲームとして良いと思う)

得点計算方法の変更

ワーカーが1つ3点、タイルが木の部屋を除いて1枚1点、畑にある小麦や動物ごとに1点、牧場の厩が1点。

また、進歩タイルにより、資材や小麦が点数になる。

各要素による得点の上限や、また減点がなくなりとてもシンプルになったと同時に、前述の通り、何かをひたすら集めるプレイングも可能になった。

本家では上限と減点により、どうしても満遍なく集める必要があったが、ファミリーバージョンでは自分のしたいことをひたすら極めることができる。

下の写真では、左のプレイヤーは動物特化、右のプレイヤーは畑特化プレイをしている。

感想

これはこれで面白い。

個人的にはアグリコラが初めてという人には、職業カードと小さな進歩カードをなしで本家をやってもらっているが、こっちの方がよりシンプルでわかりやすい。

(もっとも、その後、本家をがっつりやるつもりなら、細かいルールの違いがあるので最初からカードなしで本家をオススメしたいが)

繰り返し書いているように、要素を満遍なく集める必要がなく、この点がファミリーバージョンの一番の魅力に感じる。本家では「猪を1頭取らなければいけない」みたいな、「得点のためだけのムーブ」が存在する。

どれだけ小麦と野菜を育てようと、猪や牛を1頭取らないとマイナスになるし、小麦と野菜には点数上限がある。カード類により各要素の集め方のバリエーションは豊富だが、集めないと減点になるという部分において、本家は制約が強いと言える。

後発のファミリーバージョンはすべてにおいてバランスが良いかというと、そこは疑問。

まず、木材の需要が高すぎる感じはする。増築と牧場に木材がたくさん必要になり、カード類がないことで木材を手に入れる手段がアクションしかないため、木材のアクションが大人気。必然的に、食料1の差では埋められないくらい、スタートプレイヤーが有利に感じる。(スタートプレイヤーマーカーの取り合いは、ゲームとして面白いことではない)

さっさとレンガを集めて改築するプレイもできなくはないが、改築後の増築に必要なレンガがなかなか集まらず、またいずれにせよレンガでは牧場が作れない。改築時にもらえる厩の効果も活かせず、やはり木材プレイをしているプレイヤーに追いつけない。

これらのことと、運要素がないことから、戦略は限定的で、繰り返し遊ぶには不向きかなと思う。

ただ、1、2回の破壊力は高いので、色々な人とゲームをする機会が多い人や、色々なゲームをやって、たまに『アグリコラ』という人にはオススメできる一作です!

涼夏と千紗都と『アグリコラ:ファミリーバージョン』

2人プレイでのプレイ記があります!

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