【コラム】ゲームを作ってみたら全然面白くなかった話
発端
『キタコミ!』という学園モノの百合小説があって、千紗都、涼夏、絢音、奈都という4人の女の子が登場する。
4人は仲良しだが、特に涼夏、絢音、奈都の3人は、主人公である千紗都のことが大好きである。
そこで、小説のネタとして、4人が遊ぶオリジナルのボードゲームを考えてみることにした。
面白いゲームを作って、みんなで遊ぶぞ!
どんなゲームにするか
涼夏、絢音、奈都の3人は単独で千紗都を落とし、千紗都は4人で仲良くの状態を維持することを目的とする、非対称のゲームにする。
具体的には、3人は一定の愛情ポイントを集めた上でトップの人が勝利し、千紗都は3人に一定の愛情ポイントを集めさせないように動く。
ゲームの軸として、ファッション、グルメ、旅行、スポーツの4つの要素を用意した。
当初はこれをアクションとして、ワーカープレイスメントにしようと思ったが、最初だし、もっと簡単なゲームを作ってみることにした。
ひとまず、トランプを使ってみる。便宜上、ハート=ファッション、ダイヤ=グルメ、クローバー=旅行、スペード=スポーツとする。実際には、それぞれ可愛い絵柄のカードがあると考える。
ジョーカーを除いた52枚を使い、一人13枚ずつ配る。1日1枚使い、13日の間に愛情ポイントを集め、14日目に勝者が千紗都とデートをする。題して『千紗都と過ごす2週間』。
傑作の予感がする。愛情ポイントを集めて千紗都とデートしよう。
ルール
一人13枚ずつカードを配った後、親プレイヤー(千紗都)は自分のカードをすべて表向きに並べる。
その後、他のプレイヤー(涼夏、絢音、奈都)は、自分のカードをそれぞれ裏向きで1枚ずつ置く。
1列ずつめくっていき、千紗都のカードと同じジャンル(スート)で、且つ、千紗都のカードの数値と近い人が勝利する。同点の場合は、小さい数字を出した方が勝利する。(フレーバーとしては、その日の千紗都の好みと好奇心の強さに、控えめに寄り添った人が勝ちということ)
勝利した人は、自分のカードと千紗都のカードの内、より小さい方のカードを獲得できる。
これだと、千紗都の13を獲得する手段がないので、もし同じジャンルで1を出していて、他に同じジャンルを出している人がいなければ、千紗都の13を獲得できる。
例えば下の場合、涼夏が勝利して、スペードの9を受け取る。
勝者ボーナスとして、勝った人は、残っている列の好きなカードを1回だけ自由に入れ替えることができる。(入れ替えルール)
13列すべてで判定して、5枚(5愛情ポイント)以上獲得して、且つ、一番多く獲得した人が勝者となる。もし全員が4枚以下の場合、仲良しエンドとなって千紗都の勝利となる。
ただし、ルール上、大きい数字を獲得するのは難しいため、11以上のカードは2枚分(2愛情ポイント)として扱う。
13枚あるので、全員が4枚以下になることは通常有り得ないが、このままだと千紗都はただカードを並べただけなので、以下のルールでゲーム性を持たせる。
親のルール
親プレイヤー(千紗都)は、どの列(日)から処理するかを選ぶことができる。
そして、もしその列に、誰も自分と同じジャンルのカードを出していなければ、そのジャンルについては誰も千紗都の興味を把握することができなかったということで、全員すでに獲得した同じジャンルのカードをすべて捨てなくてはならない。(ぼっちルール)
これにより、千紗都は3人がすでに獲得したカードを見ながら、日にちを選ぶというゲーム性を確保する。
とにかく、毎日千紗都の気分に合わせてカードを出していくんだな。
全然面白くなかった
机上で考えた時は面白そうだったのだが、実際にプレイしてみたら震撼するほどつまらなかった。
まず、よく考えれば当たり前だが、全員が千紗都の出したカードと違うジャンルを置くようなシーンはなく、ぼっちルールはまったく発動しなかった。
また、他の3人も、千紗都のカードに一番近いカードを機械的に並べるだけだった。
さらに勝者ボーナスの入れ替えルールも、自分が千紗都と同じジャンルのカードを置けなかった列を、他の人のカードと入れ替えるだけだった。
結局、初期手札が千紗都のカードとより近い人が勝利するだけのゲームになった。
カードをすべて使わなければどうだとか、千紗都のカードを非公開にしたらどうだとか、ジョーカーを使って役割を持たせたらどうだとか、色々考えてみたが、一向に面白くならず、『千紗都と過ごす2週間』はお蔵入りとなった。
今回はナイストライってことで、次は楽しいゲームを作ろう!
【追記】千紗都と過ごす1週間
後日、同じコンセプトで、全然別のゲームを作りました!