【レビュー】AGAMEMNON*運命の糸を手繰る戦争ゲーム!
概要
AGAMEMNONはトロイア戦争におけるギリシア軍の総大将で、このゲームはトロイア戦争をモチーフにした2人用の対戦ゲームである。
ギリシア軍とトロイ軍に分かれ、ボード上に自分の軍勢の15枚のチップを並べる。
ボードには運命の糸と呼ばれるタイルが敷き詰められ、並べたチップの強弱によってその糸を獲得し、多い方が勝利する。
ルール
ルール自体はいたってシンプルで、まずボード上に模様に従って運命の糸タイルを並べる。
各陣営のチップは裏向きにする。
スタートプレイヤーはチップを1枚表にして配置する。
それ以降、2枚ずつ表にして、空いているマスに配置する。
最後の1枚は、空いている3マスのいずれかに配置する。(空きマスが2つできる)
それぞれ最初の2手番に織物(後述)をめくってしまったら、やり直す。
これがゲーム終了時の一例。
次に、得点計算で糸ごとの所有者を決め、そのプレイヤーが繋がっている一連の糸を獲得する。
得点計算
まず「強さ」を表す矢印マークの糸は、繋がっているタイルの槍の合計が多い方。
下の例ではオレンジはそもそも槍がなく、黒がタイル3枚を獲得する。
「リーダーシップ」を表す波マークの糸は、リーダータイルの強い方。
下の例では、黒がB、オレンジがDなので、黒がタイル2枚を獲得する。(同じ場合は次点で比較)
最後に、「武力」を表す円マークの糸は、接続されているタイル数の多い方。
下の例では横糸によって分断され(後述)、左の2枚が黒2、オレンジ1で黒の勝ち、右の2枚も同様に黒の勝ちになる。
なお、いずれも同点の場合は両プレイヤーともその糸タイルを獲得できない。
織物タイル
三角の縦糸タイルは、置いた時にそのマスに繋がっている2枚のタイルを入れ替えることができる。
横糸タイルは繋がりがそこで分断される。
また、2マス残る空きマスも、同様にそこで分断される。
THE LOOM
ボードは両面になっており、裏面のTHE LOOMの面は、糸を置く場所が4色に分けられている。
それぞれ対応する4枚のタイルがあり、最初に引いた色の上に「強さ」の糸を、次に引いた色の上に「リーダーシップ」の糸を、次に引いた色の上に「武力」の糸を置いてゲームを始める。
これにより、毎回違ったゲーム性を楽しめるようになる。
また、3種類あるタイルをそれぞれの山に分け、どこから引くかを選択できるバリアントや、最初からすべてオープンにして行うバリアントも用意されている。
特に後者は完全なアブストラクトゲームになるが、プレイ時間が長くなるのでオススメしないと、わざわざルールブックに書かれている。
感想
アブストラクトに近い、なかなかの戦略ゲーム。もちろん引き運はあるが、あまりそれを感じさせない。
特に縦糸と横糸のルールが秀逸。
長くつながったリーダーシップの糸をくいっと入れ替えて切ってしまうなど、逆転要素がふんだんにある。
もちろん、逆に完全に戦略的にプレイしたい人は、全部表にしてプレイすることを公式でバリアントとして提唱してくれているので、心置きなくそれを選択することができる。
コンポーネントも綺麗で、特に裏面は色合いは美しい。
ただ、新鮮な感動のあるゲームではなく、ルールを読んで想像できるプレイ感を超えることはない。
テーマやアートワークに魅力を感じない人には、もしかしたら退屈なゲームかもしれない。